Bonjour, レストラン・パリです。サービスマンのパリ徒然日記: パリ15区、区民の、区民による、区民の為のワインオークション

芸術の都・パリには沢山の美術館があり、そしてまた美術品を売り買いする真のオークションがたくさん存在します。パリのオークションと言うと億万長者しか参加できない高額な絵画コレクションのオークションを想像しますが、我々の様な一般人が参加できるオークションもあるんです。身近な所では、切手やコイン・古い絵葉書のオークションなどです。もちろん日本円で100万円以上もする切手や絵葉書もありますが、1000円単位でも落札できる絵葉書やコインのオークションがホテルの宴会場で行われることがあります。

今日ご紹介するのはワインのオークションです。
ワインもピンからキリで、ロマネコンティなど1本で日本人の平均年収ぐらいで落札されることもありますが、ご紹介のワインはちょっと珍しい、日本ではどこも輸入していないワインのオークションです。

フランスはワインで有名ですが、フランス中でワインが生産されているわけではありません。フランスにおけるワイン生産の「北限」はほぼパリです。シャンパーニュ地方はパリの右横と言ってもよく、パリよりも北でワインを生産しているのはアルザス地方くらいでしょうか。

パリのガイドブックで「モンマルトルの丘」が紹介されています。その中に、パリのワイン畑が紹介されております。「クロ・モンマルトル」と呼ばれて、ほぼすべてのガイドブックに紹介されていると言っても過言ではありません。それほど有名なのですが、それ故に、そこがパリで「唯一」のブドウ畑と思われております。

でもモンマルトル以外はあまり知られていませんが、パリには5か所ブドウ畑があるんです。その一つが15区のジョルジュ・ブラッサン公園にあるLe cols des Morillons　というブドウ畑です。
オークションの話から、なぜパリのブドウ畑の話？とお思いでしょう。
今日の本題は、このパリ・15区のブドウ畑で作られたワインのオークションです。
15区の公園内ですから、ブドウ栽培、管理をしているのは15区役所の緑化部・園芸課の職員です。つまり公務員が作ったワインです。でも収穫には15区の区民ボランティアが参加して行われます。つまりおらが町のワインと言う事です。

そのワインを瓶詰めして、秋に区民対象のワイン・オークションが行われます。（別に誰でも参加できます。身分証明書が必要ですが。）
オークションが行われたのは9月末です。（かなり遅い報告ですみません）
場所は同公園内の古本市会場の一角です。
15区長も出席して行われました。

会場に着くと、事前に出品リストが配布されました。
生産量が少ない為、全て500mlのボトルに詰められておりました。
3本を一組セットにして1ロットとして出品されました。そのロットは2014年3本、とか
2015年3本とかもあれば、2014年、2015年、2016年のセットなどもありました。
1ロットは50€から競りが始まり、おおむね80から90€で落札されておりました。
2014年3本セットのロットは10ロット以上出品されており、1番目のロットで競り落とせなくても、その次の2番ロットで、それでも他の人と競合した人は第3ロットで競り落とせば良いという事で、価格がつり上がる事も無く、どこかのんびりした雰囲気のオークションで進みます。参加者も地元のワインを楽しく買い付ける。地元にちょっと変わった形で寄付する（税金を払う）って感じで殺気立っておりません。今競り落とせなかった人は、お次はどうぞあなたです、的な感じさえ漂うお隣さん同士の、仲良しオークションみたいでした。とはいえ、オークションを進める人は、その会社の人でプロの競り士で、何と驚く事に電話で競りに参加する人までいました。（その光景は動画でご紹介します）

私も参加して2015年ヴィンテージを2018年のクリスマスイヴに友人と楽しく飲みました。それは驚くほどによくできたワインでした。価格的には500mlで30€ほどですので、
ブルゴーニュの高級ワインが1本買える値段ですが、そこはパリの生産数が100本強のワイン。楽しく飲めて幸せでした。