2015年12月4日金曜日

シャンゼリゼのイルミネーション 2015

ちょっと画像が鮮明ではないかもしれませんが、雰囲気は味わって頂けると思います。






2015年12月3日木曜日

ラーメン店が「1つ星」で思う事

久しぶりに私見を。
日本のラーメン店がミシュランの1つ星を取った、との報道。
これはフランスで飲食業に携わる者として、驚愕のニュース!
1000円でお釣りがくる1つ星!!
ラーメンとは、もちろん麺とスープと具に分かれている。
この3つすべてが無ければなければ成り立たない。
つまりこの3つだけで勝負しなくてはいけないという大前提があるのだ。
フランス料理とか日本料理という大きな枠でくくると、魚はあるし肉も野菜もあるわけだ。焼こうが煮ようが好きにしろなどとドラマのセリフがあるが、自由の枠がそれこそ無限大であり、すべての食材と技法がシェフの目の前に横たわっている。
しかしラーメンには、すでに麺と言うほぼ完成された素材があり、またスープと言う手の加える余地の少ないこの温かい(熱い)液体で勝負しなくてはならない。具にしても、麺よりはやや工夫の余地はあるかもしれないが、あくまでも麺と液体の上に添える(浮かべる)という大前提がある。
いままで、フランス料理・イタリア料理の星付きレストランで、はたして「シェフのスペシャリティーは?」と聞いた時に、「コンソメスープです。」とか「スパゲティー」です、答えた店があっただろうか?(注、ポール・ボキューズのスープV.G.Eはスープの液体単体で勝負していないので、ここではのぞかせて頂きます。)。トリュフを練りこんだパスタを出す店などもあることにはあるが、そのパスタだけで星を取ったわけではなかろう。
フランス料理、イタリア料理、そして日本料理に携わっている方から「俺たちは、それら肉、魚、野菜すべてにおいて完璧以上を求められるだぞ」という声も聞かれるであろう。それもまた皆さん大変なご苦労であろう。
ミシュラン日本版(東京版)が世に出て、フランスよりも東京の方が星付きレストランが多いとか、フランス版には写真が無いのに東京版は写真付きとか、色々賛否両論あった。
確かにフランス版は車で旅行する者に添うように、レストラン、ホテル、その地方の主要情報(市役所や村役場、パリなどの主要都市からの距離、風光明美な場所、市内地図)などが掲載されていて、「国土地理院発行の主観の無い地球の歩き方」とも呼ばれている(私がそう言っているだけ?)。
それに比べて日本版は豪華なレストランガイドであり、旅行のガイドには成り得ない。
両者の編集のスタイルは全く異なるので、比較できないと思う。
また、パリと日本を比較すること自体に意味は無いのではと思います。
でも、唯一共通している事は、「覆面調査で公正である」と言う事。(ここにも異論を持つ方もいらっしゃると思いますが、。)
フランスで星を取るには、やれ「テーブルクロスが無いとダメ」、「トイレが男女分かれていないとダメ」、「ワインリストがしっかりしていないとダメ」「予約電話の受け付けから審査されている」などという都市伝説(?)があるが、はたしてこの1つ星ラーメン店はすべてをクリアしているのだろうか?
恐らくラーメンのサービスにしても、他店と線引きされるほどの気を使ったサービスではあると思うが、予約を受け、玄関でコートを預かってくれて、支払いがAMEXでできるラーメン店ではないでしょう。
今回やはり、その「ラーメン」そのものが評価されたのでしょう。
これをミシュラン社は「当社は昔から、料理そのものを評価しているだけ」と言うかもしれないが、料理に携わっている者の側からすると、革命的な事です。
これに続く、うどん屋、そば屋、カレー屋、餃子屋、ピザ屋、そして焼き鳥屋なども出る可能性も否定できなくなってきた。
今まで、星を取ったシェフが、違う業態に進出する例が見られたが、これからは1つ星ラーメン店のシェフが出す、「ビストロ」「立ち食いそば屋」「おにぎり屋」なんて出てくるのかも??
なんといっても、この店主の努力には頭が下がる。
もちろん、パリのシェフたちも日夜、新しい料理を考え出すために汗水たらして仕事に取り組んでいる。
でも、これからのグローバルな時代、フレンチだけが世界の料理ではないという事は明白である。
次回の日本で行われるサミットでは、是非とも総理大臣が各国の首脳にこの「1つ星ラーメン」を振舞ってもらいたい。