2018年10月8日月曜日

オルセー美術館・彫刻工芸品編 ロダン、エミール・ガレ、アントニオ・ガウディーなど

 オルセー美術館・絵画編に続き、彫刻・工芸品編をお伝えいたします。

 おおよその方々は彫刻は絵画より目にする機会が少なく、興味の薄いのではないでしょうか。私も実はそうでした。日本の街中で銅像を見ても(まず都会ではほとんど無い)あまり足を止めて見たことはなく、作者はもちろん誰の銅像か気にも留めない事が多かったと思います。まぁ、上野の西郷さん、皇居の楠木正成、仙台の伊達政宗の像などは有名でしょうが、我が故郷の、町の銅像などはほとんど知らないのが実情です。
 でも、日本に彫刻の素晴らしいものが無いかと言うとそうではないでしょう。京都や奈良に限らず、素晴らしい仏像がありますし、幼稚園の頃、鎌倉の大仏に遠足に行ったりしました。田舎の旧街道の片隅にはお地蔵さんが立っていたりします。
 日本は、伝統的に木製の像が多く、これらは石像に比べて風雨に弱い事から必然的に屋内での設置が主流となり、結果、普段目にする機会が少ないのでしょうね。
土をこねて作る、土偶、埴輪などは古代から見られますが、これは石を削る金属が無かったころの事で、金属が発達すると、それはもっぱら木を削る道具となり、石を削る道具にはならなかったのは、像の製作に適した石を手配する(見つける)事が難しかったのかもしれませんね。もしかしたら、木造建築の日本では、石像を置く、作るという発想が無かったのかもしれませんね。
 逆に欧州は歴史的に、建造物が石造りなので、石像が早くからお目見えし、残っているのでしょうね。近所の公園などにも沢山の像が見られます。こんなところで「えぇ」と言う様な、有名な作家の彫刻があります。
 この半年間くらい、精力的に美術館を訪問しているのですが、以前はあまり興味がなかった彫刻に少しづつ惹かれるようになりました。
 まず絵画の多くは現在では本、カタログ、ネットで見る事が実に簡単です。ですが、この頃気づいたのですが、彫刻(工芸品)などの立体造形物は、写真では分からない事が多いです。もちろん絵画も作者の筆遣い・タッチなどが実物を見る時にはより分かるのですが、彫刻はその比が雲泥の差です。陽の当たり具合でできる陰影、彫の浅深、そして何より360度見る角度が違えば見方も変わる、と言う事です。
ここで彫刻を写真で紹介するという事は、上記の発見と相容れないですが、少しでも皆さんの興味に繋がればと思い、ご紹介します。でも、機会があれば是非、実物をご自身の目で御覧になって下さいね。日本でも意外と近くに彫刻はあるのかもしれません。


<5階>


ドガ「14歳の踊り子」
銅像に衣装を纏わせています。
5階には沢山のドガの彫刻が展示されております。


ロダン「青銅時代」


ロダン「歩く男」


<2階・彫刻>

ジュール・デボワ「悲惨」
デボワはロダンの下彫師であった。この作品は老いた女性を表現。


カミーユ・クローデル「壮年」
ロダンと妻・ローズが去り、カミーユが取り残されている悲哀。


アントワーヌ・ブールデル
「ステュムパリデス湖の鳥を仕留めるヘラクレス」
モンパルナスのブールデル美術館に同様の作品が展示、
また力強い威信を示すため、数々の国際機関に置かれている。


アントワーヌ・ブールデル「アポロンの頭像」
モンパルナスのブールデル美術館に同様の作品が展示されている。この作品によって、ブールデルはロダンの下彫り師から解放された。


ロダン「地獄門」
ダンテの「神曲」からヒント得た作品で、中央上部には「考える人」が見える。ロダン美術館に同作品が展示されている。


ジョルジュ・ミンヌ「ひざまずくものたちのいる噴水」


コンスタンタン・ムニエ「アントワープ港の荷揚人足」


エメ-ジュール・ダルー「肘掛椅子で読書する女」


エルネスト・メッソニエ「旅人」
困難に立ち向かうナポレオンを象徴。


アリスティード・マイヨール「地中海」
このタイトルはちょっと意味不明?

ジョゼフ-アントワーヌ・ベルナール「自然への努力」



<2階・工芸品>

エミール・ガレのガラス製品

「海藻と貝殻の手」


「秋の終夜灯」

「とんぼのガラスケース」
中の壺でなくショーケースも ガレ作


「マリーンの壺」


「とある夜の杯」


「溶ける杯」


「水差し」


「ボウル・燃える種子」


「蓋つきポット・たまり水」


「花瓶・池の限界」


「花瓶・ぶどう」


「花瓶」

2階には紹介しきれない位のガレ作品が展示されております。



アントニ・ガウディーの作品

「庭の3脚」


「6角形の敷石」
写真では分かり難いですが、タイルの表面に綺麗な模様あり。


「角のショーケース」


「壁の対鏡」
ちょっとムーミンみたいです。


「教会のベンチ」


 ガウディーの作品は、ほとんどの人が興味が無いのか、気が付かないのか、足を止める人はほとんどないです。残念です。






エクトル・ギマール「喫煙室のベンチ」
アールヌーヴォーの先駆者


フシェール、フロマン-ムーリス、ジョフロワ-ドショームの共同制作
「パルマ公爵夫人の化粧台と飾り置物」


ポール・フォロ「正方形花模様の二体式キャビネット」

ヴィクトル・オルタ「オーベック邸の板張りと家具」
床の模様も含めてアート。



<0階・地上階>

ボレスラス・ビエガス「スフィンクス」

フランツ・フォン・シュトック「ベートーヴェン」
ベートーヴェンが存命中に本人から直接マスクを取った。


フェルナン・クノップフ「未来」
大理石の作品に着色し、月桂樹の冠をかぶせる

ルノワール&リシャール・ギノ「ルノワール夫人」
リューマチで指が不自由になったルノワールがギノに指示して作製。ここでもルノワールの色遣いが見える。

アントワーヌ-ルイ・バリー「座るライオン」
対になる「蛇を踏み潰すライオン」がチュイルリー公園にある。


ピエール-ジャン-ダヴィッド・ダンジェ「ゲーテ」
作者はゲーテに会いにワイマールまで旅した


オーギュスト・クレザンジュ「蛇にかまれた女」
実物の肉体から型を取った官能的な作品


ジェームス・プラディエ「サッフォー」
ギリシアの女流詩人サッフォーがモチーフ


ピエール-ジュール・カヴリエ「コルネリア、グラックスの母」


アレクサンドラ・ファルギエール「タルシシウス、キリスト殉教者」
投石刑に処されたキリスト殉教者


シャルル・コルディエ「スーダンの黒人」
彩色彫刻


ジャン-バティスト・カルボー「ダンス」
オペラ座のファッサードを飾る作品、現在オペラ座には複製画掲げられている。


ジャン-バティスト・カルボー「世界を支える4大陸」
リュクサンブール公園に続く、マルコポーロ公園に設置された。現在公園にある物は複製。

フランソワ・ポンポン「白熊」
墓石屋の大理石職人であった


アンリ・シャピュー「ジャンヌ・ダルク」
私が個人的に一番好きな像、パリ郊外シャンティー城にも同様の作品が展示されています。戦う勇者のジャンヌでなく、恐らく神の啓示を聴く、もしくは聴く前のジャンヌ。


<美術館の屋外>
入場券を購入しなくても鑑賞できます。


アレキサンドル・シュヌベルク「ヨーロッパ」



アレクサンドル・ファルギエール「アジア」
ちょっと昔のフランス人のアジア観が出てますね。


ウージェンヌ・デラプランシュ「アフリカ」
  
エルネスト・イオール「北アメリカ」
  
エメ・ミレ「南アメリカ」
  
マチュラン・モロー「オセアニア」




まだまだ沢山紹介しきれないくらい溢れているのですが、、。
写真では本当に「彫刻の良さ」がお伝えできないのが残念です。是非、機会がありましたら、実物をその眼で色々な角度から鑑賞して下さいね。




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